2019年3月26日火曜日

小型CMOSカメラによる地球撮像

遅くなりましたが,HATO SATのミッション最後の一つを紹介します!

④小型CMOSカメラによる地球撮像

民生用の小型CMOSカメラを搭載し,可視光による地球の撮像を行います.地上分解能は約200m程度の,30万画素のCMOSイメージセンサを用いた高画質の画像取得を目指します.
搭載予定の小型CMOSカメラ

撮影した画像は,地表面・海上の観測に利用したり,地域の子供達に向けた宇宙教育に利用することを想定しています.また,画像の取得・データダウンリンク・画像解析を行うことで,リモートセンシングに必要な基礎技術を習得し,将来のより高度な地球観測システムの構築につなげたいと考えております.

取得画像イメージ(ほどよし4号機撮影)
©東京大学 中須賀・船瀬研究室

担当 潮田






卒業・修了式が行われました

2019年3月18日に,日本武道館において本学の卒業・修了式が行われました.今年は学部生10名,院生2名が卒業・修了しました.

来年度からは学部生9名,院生8名で研究室の運営を行ってまいります.また,この内衛星開発メンバーは,学部生5名,院生2名の体制になります.今後とも日々精進してまいりますので,引き続き応援よろしくお願い致します.


担当 潮田

2019年3月7日木曜日

マイクロ波通信実験

今回もHATO SATのミッションを紹介します!

③マイクロ波通信実験

HATOSATでは,周波数2~4GHz帯のマイクロ波の一種を使用して,地上の無線局と通信を行います*.一般的に超小型衛星の無線通信には,430MHz帯のUHFという電波が使われていますが,これに比べてマイクロ波は波長が短い為,アンテナを小さくすることができ,そのうえ沢山の情報を送信することが出来ます!HATOSATでは容量の大きい画像データの通信用としてこれを使用し,実験を行います.私たちは将来的に,より容量が大きいMEG,MRIといった脳の検査データを衛星を使って収集・送信するシステムの構築を目指しているため,マイクロ波通信は非常に重要な技術となります.

さらにHATOSATでは,マイクロ波を送信するアンテナとしてパッチアンテナを使用します.これは,マイクロストリップアンテナの一種で,小型・軽量に作ることができ,さらには衛星通信に必須の円偏波を比較的容易に作り出すことが出来ます.

開発中のマイクロ波通信用パッチアンテナ

電波は目には見えないうえ,ほんの少しの調整でアンテナの特性が変わり,苦労することもあります.それでも,利得の高い(性能の高い)アンテナや高効率の通信システムを実現するため,日々開発に励んでいます.

さらに今回マイクロ波の受信を行う地上の無線局には,本学の所有する直径3mのパラボラアンテナを使用します.本学は標高約80mの山頂にあり,アンテナはキャンパスの屋上に設置されているため,周りに電波を遮るものがなく非常に良好な通信環境です.

3mパラボラアンテナ

担当 潮田

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*IEEE(米国電気電子学会)では,マイクロ波は周波数が0.3GHz以上の電波と定義されており,2~4GHz帯はSバンドと呼ばれています.また,ITU(国際電気通信連合)の無線通信規則では2~4GHz帯はUHF~SHF帯に分類されます.

2019年3月3日日曜日

CMGによる高速姿勢制御実証実験

今回もHATO SATのミッションを紹介します!

②CMGによる高速姿勢制御実証実験

CMGとは,Control Moment Gyroscopeの略で,角運動量交換型といわれる姿勢制御装置の一種です.その原理は,高速で回転するホイールをジンバル機構で支持する構造で,ジンバルに固定されたモータによりホイールの角運動量(回転軸)の向きを変更することによって得られる,いわゆるジャイロ効果によるトルクにより人工衛星の姿勢を制御します.これまで一般的に用いられてきた姿勢制御装置には,リアクションホイールや磁気トルカがありますが,CMGはそれらに比べて数十倍のトルクを出力できるので,高速な姿勢制御が可能になります.

CMGの原理

近年は,特にリモートセンシングによる地球観測の需要が高まっており,特定の地点・設備等の詳細な形状や稼働状況を高頻度に把握することが求められています.例えば災害発生時には,災害発生地域の上空に衛星が飛来した際,衛星の姿勢を制御して,観測センサ(カメラ等)の視線方向を目標へ向ける動作を複数回行う必要があります.そこで,この高速姿勢制御の技術が重要になります.


高速姿勢制御技術の必要性

CMGはこれまで,そのトルクの大きさから国際宇宙ステーションなどの大型宇宙機の姿勢制御に主に用いられてきました.しかし,CMGはその構造の複雑さや,姿勢制御精度が劣ることなどの課題もあり,Cubesatに搭載された例は殆どありません.そこで私たちは,これらの課題を解決し,高速と高精度を両立した小型CMGの実証を目指しています.


国際宇宙ステーションに搭載されるCMG
Credit : NASA

担当 潮田

2019年3月1日金曜日

S&Fミッション

今回から,HATO SATのミッションの詳細について紹介します!

① S&Fミッション

S&Fとは,Store and Forwardの略です.これは,地球上に設置したセンサ等の端末によって何らかの情報を計測し,そのデータを地球を周回する衛星が集めます(Store).そして衛星が管制局の上空に飛来した時にそのデータを地上にダウンリンク(Forward)することで,地球上のあらゆる場所の情報を得ることが出来るといったものです.

このミッションは地上で何を計測するのかが大切で,特に携帯電話の通らないところや,危険地域などで優位性が高くなります.HATOSATにおいては,雪山等の登山者にセンサを身に着けてもらい,登山者のバイタルデータ(脈拍,血圧,体温)や位置情報の計測を試みます.これを登山者が遭難した場合の救助に役立て,登山の安全確保につなげたいと考えています.



S&Fのイメージ

また,地上に設置するセンサからの情報収集には,送信出力20mW,周波数帯920MHzの特定小電力無線を使用します.これにより無線通信用の免許を必要とせず,様々な場所にセンサを設置することが出来ます.しかしこのような特定小電力無線は,伝送速度が遅いというデメリットがあり,特にデータ容量の大きいバイタルデータを送信しきれない恐れがあります.私たちはこれを,アンテナの利得向上により改善しようと現在研究開発を行っております.

担当 潮田

HATO SATのミッション

今日はHATO SATのミッションについて紹介します!
主なミッションは,以下の4つです!

① S&Fミッション

② CMGによる高速姿勢制御実験

③ マイクロ波通信実験

④ 小型CMOSカメラによる地球撮像

小さな人工衛星でも,これだけ沢山のミッションを行うことが出来ます.それぞれのミッション内容の詳細は,また次回紹介します!

担当 潮田

第二回クラウドファンディング開始のご挨拶

前回のクラウドファンディングは無事成功し、多くのご支援をいただきました! ご支援いただいた皆様には心よりお礼申し上げます。 そして今回! 第二回クラウドファンディングを立ち上げました!! 以下のURLから詳細をご確認いただけます。 ⇒ 超小型衛星HATOSA...